新しいAzure Stack HCI
ハイブリット環境を実現する新しい「Azure Stack HCI」とは
2020 年12 月にMicrosoft から発表された新しいAzure Stack HCI(以降ASH)は、クラウドとの連携を前提とした新しいHCI 専用OS となります。オンプレミスにてHCI 基盤を単一OS で構築、またパブリッククラウドであるAzure と連携することでクラウドネイティブな運用管理が可能となったハイブリットクラウド環境を実現した新しいソリューションとなります。
「Windows Server S2D※」と「Azure Stack HCI」の違い
Microsoft が現在提供しているHCI ソリューションは2 つあります。1 つはWindows Server Datacenter Edition の標準機能として提供している「Windows Server S2D ベースのHCI」となり一時期ASH と呼ばれていました。Windows Server S2D※ は、オンプレミスを中心に従来のIT システムとして、ASH はHCI とクラウドに焦点を当てた最新の仮想化基盤として、それぞれ目的に合わせて進化していきます。ここでは運用・コスト・利便性の3 つの観点から旧/ 新ASH の違いについて簡単にご紹介します。
運用面
Windows Server S2D※ではWindows Admin Center(以降WAC)を用いたオンプレミスでの運用/ 管理が中心となります。
ASH はAzure 使用が必須とハイブリットクラウドでの運用となり、仮想マシンやHCI はAzure Portal から運用/ 管理できます。
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当サイトでは理解しやすいように「Windows Server (旧ASH)」を「Windows Server S2D」として定義しております。ご認識いただけますようお願いいたします。
コスト面
両ソリューションとも単一OS でHCI 環境を実現するため、ハイパーバイザーとSDS の費用が別となる一般的なHCI よりコストを削減できます。仮想マシンのゲストOS についても、Windows Server S2D はWindows OS なら無制限に利用可能、ASH はゲストOS をAzure サービスの1 つとして必要な時に必要な分だけ調達することが可能であり、ユーザーのスケジュールに合わせての柔軟な運用が可能となります。
利便性
両ソリューションにおいて、Azure と連携して利用できるサービスの比較となります。ASH ではAzure と連携することでより多くのAzure サービスをご利用頂くことができ、更なる利便性の向上を実現できます。
最新情報と詳細についてはMicrosoft 公式サイトをご参照ください。
DIS が取りまとめた「Windows Server S2D(旧ASH)」の詳細については下記リンクをご参照ください。
Azure Stack HCI 3つの特長
ASH は、Azure サービスの1 つとして提供されることにより様々なメリットがございます。
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2022 年8 月時点でプレビューである機能にはアイコン を付けております。
- クラウドを用いた運用管理パブリッククラウドのAzureを活用することでシンプルにASHを運用管理できます。
- オンプレミスでのAzureサービス利用オンプレミス環境でもクラウドで提供されているAzureのサービスがご利用いただけます。
- ESUの無償提供EOSとなるライセンスの拡張セキュリティ更新プログラムを無償で提供いたします。
1.クラウドを用いた運用管理
一元管理による運用管理コストの削減
ASH はAzure の管理運用ポータルであるAzure Portal からゲストOS をはじめ、HCI クラスター全体を一元管理することが可能となります。オンプレミスにあるHCI 環境からパブリッククラウドのAzure まで単一コンソールで管理できるため、ハイブリットクラウド環境のコストを最適化できます。
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ASH OS の展開/ 管理にはWindows の無償管理Web ツールであるWAC が必要になります。
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Azure Portal からの管理にはWAC とAzure Portal の連携が必須となります。
複数拠点に分散されたHCI 環境についても、Azure Portal より離れた場所から管理・運用することができます。また、Azure MonitorなどのAzure ソリューションを活用いただくことことで、より一層仮想マシンを含めたHCI 全体の監視を強化することができます。
シナリオ例: Smart Retail 分散する拠点への展開
DR 対策のストレッチクラスタリング機能
2 つの離れた場所でASH クラスターを構成した場合、ストレッチ クラスタリング機能を使用したDR 対策ができます。Azure を通してボリュームの同期/ 非同期レプリケーションが可能なほか、自動で仮想マシンをフェイルオーバーさせることができます。
常に最新のテクノロジーをサブスクリプション型で提供
パブリッククラウドで提供されるAzure と連携することで、ユーザーは意識することなく最新のソリューションを利用することができます。また、Azure からサブスクリプション型で提供されますのでスモールスタートが可能となります。
オンプレミスにて構築されるHCI 環境のOS についても最低年一回のアップデートが配信されるため、パブリッククラウド側に追従してアップデートされます。実際の更新作業についても管理ツールから自動化(ローリングアップデート)できるため実業務への影響は最小限となります。
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最低30 日に1 回はAzure との通信が必要になります。
2.オンプレミス環境でのAzure サービス利用
Azure Arc との連携によるAzure サービスの利用
Microsoft が提供するハイブリットクラウド環境の統合管理ツールAzure Arc により、オンプレミス環境でもAzure サービスを利用することができます。Virtual Machine などのIaaS サービスだけでなく、Web アプリなどを迅速に展開できるWeb Apps やワークフローを自動化するLogic apps などのPaaS サービスも利用可能となります。
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Azure Arc 対応サービスのみオンプレミス環境で使用できます。対応サービスは随時追加予定となります。
Azure Kubernetes Service on Azure Stack HCI
コンテナー利用時によく使用されるであろう Kubernetes プラットフォームが オンプレミス環境でも簡単に利用できます。Azure Arcを活用することで、Azure Kubernetes Service(以降AKS)がASH 環境上で実行可能、オンプレミス環境にてコンテナーの作成/ 管理が可能となります。
Azure Virtual Desktop for Azure Stack HCI
ASH ではAzure Virtual Desktop(以降AVD)をオンプレミスにまで拡張いただけます。AVD の管理プレーンはクラウドにて運用しながら、セッションホストとデータはオンプレミスにて運用することで、パフォーマンスを向上いただけます。また、オンプレミス環境で稼働するため既存の有効なWindows ライセンスを活用できますので、ライセンスコストの低減も見込めます。
Azure Virtual Desktop on Azure Stack HCI の利点
3. ESU の無償提供
Windows/SQL Server 2008・2012 ライセンスのESU を無償提供
EOS が発表されたWindows/SQL Server 2008・2012 ライセンスにおいて無償で拡張セキュリティ更新プログラム(ESU)を提供されます。ASH に移行いただくことで上記ライセンスが使用されているシステムの延命を図ることができます。
ESUの詳細についてはDIS担当者コラムをご参照ください。
ユースケース別Microsoft HCI 選定
Windows Server S2D とAzure Stack HCI の選び方
ユーザーの事業内容などのシナリオによって適したソリューションは違います。ここではどういったシナリオならWindows Server S2D なのか、Azure Stack HCI なのかの1 例を表記させていただいております。
- ハイブリットクラウドでMicrosoft HCIを利用したいAzure Stack HCI(ハイブリットクラウド)
- 既存でWindows Server2008 or 2012ライセンスを利用しており、システムの延命を図りたいAzure Stack HCI(ESU無償提供)
- スモールスタートが可能で、必要な分だけゲストOSをサブスクリプションで調達したいAzure Stack HCI(サブスクリプション利用&スイッチレス2ノード構成)
- オンプレミスで安価にストレージの管理負荷を下げたいWindows Server S2D
Azure Stack HCI OS の購入方法
ASH OS はAzure サービスの1つとなるためCSP プログラムでの販売となります。
CSP プログラムの詳細については下記リンク先をご参照ください
CSPプログラム
(Cloud Solution Provider)