Cisco 担当者コラム
Cisco・Collaboration
Collaboration 第98回 「【重要】Cisco Webex データ保持ポリシーの変更(Changes to Data Retention policy for Webex)について」
こんにちは。ディーアイエスサービス&ソリューション株式会社でシスココラボレーション製品の担当エンジニアをしております斎藤です。
先日シスコから、「Webex: Changes to Data Retention policy for Webex」というメールがWebex管理者宛てに送付されてきました。要約すると、Webexのデータ保持期間が無制限からデフォルト360日に変更される、という案内なのですが、Webex上でやり取りしていた過去のデータ(1年以上前のデータ)が来月末に突然消えてしまう可能性があります。今回は本事象の概要と対応方法についてご紹介したいと思います。最後まで是非ご覧ください。
Webexデータ保持ポリシーとは?
Webexを利用するにあたり、Web会議ツールのMeetings、ビジネスチャットツールのMessagingをよく使われているかと思いますが、これらツールでやり取りしているデータは、クラウド上で保存されているデータ(組織またはシスコに管理されているデータ)になります。具体的には、次のようなデータがクラウド上で保存されているデータになります。
・Meetings: 録画、議事録、ハイライト、などのデータ
・Messaging: メッセージ(チャット履歴)、共有ファイル、などのデータ
この度、クラウド側でこれらデータの保持期間の仕様変更があり、それを知らせるメールが先日Webex管理者宛てに送付されました。実際に送付されたメールは以下の通りです。
・件名:Webex: Changes to Data Retention policy for Webex
・宛先:[Webex管理者]
要約しますと、これまで保持期限が“無制限”だったものがデフォルト360日に変更される、という内容です。つまり、これまでWebexのクラウド上のデータは手動で削除されない限り、無期限に残っていたものが、有限の360日に変更され、360日以前のデータは自動削除されてしまう、というなかなかインパクトある仕様変更になります。
例えば、チャットなどの履歴はこれまで何年も前に遡って確認ができましたので、早くて来月から1年以上前のチャットや資料は自動削除され、復元も出来なくなってしまいますので、なるべく早く何かしらの対処が必要になります。
この仕様変更については避けることが出来ないことなのですが、契約内容によっては保持期限を最大3600日まで伸ばすということが可能です。次に具体的な対応方法についてご紹介したいと思います。
Webexデータ保持ポリシーの組織設定について
まず今回の変更は、ご契約のライセンス状況によって影響が異なります。簡単に表にまとめてみました。
直近でWebexをご契約されたお客様(A-FLEX-3)に関しては、Pro Packが標準でバンドルされておりますので、保持期限を最大3600日に設定変更が可能です。対して、以前よりWebexをご契約されていたお客様(A-SPKやA-FLEXをご契約のお客様)に関しては、Pro Packオプションを追加していない場合が多いかと思いますが、こちらは360日が設定可能な最大値になります。
従いまして、まず自社の契約にPro Packが含まれているかどうかをご確認いただく必要があります。こちらの確認はControlHub上で確認が可能です。まず、Control Hub(admin.webex.com)に管理者権限でアクセスし、「アカウント」>「サブスクリプション」をクリックします。こちらの画面で契約内容を確認いただけるのですが、「管理とセキュリティControl Hub Pro-Pack」という項目が存在していれば、ProPackが契約に含まれておりますので、保持期間を最大3600日に変更可能です。
もしPro Pack契約が含まれていない場合、保持期間はデフォルト360日が最大となります。360日以上に期間を延ばされたい場合は、早急にPro Packライセンスを追加発注いただく必要がありますので、該当のお客様いらっしゃいましたら弊社営業までお問い合わせいただければと思います。
なお、Pro Packを追加する方法としては、下記2パターンがあります。
1. 既存契約にPro Packライセンスを追加発注する
2. A-FLEX-3の契約に移行する
可能であれば(2023年1月31日に間に合うようであれば)、価格的にも機能的にもメリットがある、「2.A-FLEX-3の契約に移行する」がオススメです。ただし、2.は契約変更となるので見積や移行に時間がかかり期日までに発注が間に合わない可能性があります。1.のパターンは、追加もしくは新規でPro Packライセンスを発注するだけなので、導入時間は短く済むかと思います。それぞれ一長一短ありますので、ケースに合わせて対応を検討いただけますと幸いです。
また、細かい注意事項になるのですが、Pro Pack機能をご利用いただくには、Meetings(Messaging)ライセンスと同数のPro Packライセンスを契約いただく必要があります。特に複数のSubIDを契約されている場合に、1SubIDのみ要件を満たしても組織にPro Packが適用されない場合がありますので、契約本数には十分ご注意ください。
ProPackの契約が確認できた方につきましては、今のうちから保持期間を3600日に変更しておくことを推奨しております。これは、仮に変更日の2023年3月31日を過ぎてから期間を3600日に変更しても、変更日を過ぎた時点で360日以前のデータは自動削除されてしまう為です。それでは次にポリシー保持期間の変更手順についてご紹介します。
Webexデータ保持ポリシー期間の変更手順
Webexデータ保持ポリシー期間は、ControlHub上の「組織設定」から行います。「組織設定」をクリックし、ページを下の方にスクロールしますと、「保存期間」という項目がございます。こちらから、MessagingとMeetingsそれぞれで保持期間を設定します。
「設定」をクリックしますと、次のような画面が出てきますので、「カスタム保存期間・・・」を選択いただき、日付を「3600」日に入力します。「保存」をクリックすると、以前のデータが全て削除されます、という注意メッセージが表示されますので、日付に間違いがないことを確認して、「更新」をクリックします。
以上で、設定変更は完了です。なお、弊社環境では元々Webex Meetings 保持ポリシーの表示がなく、シスコテクニカルサポートにて設定ボタンを有効化いただいきました。環境によっては設定ボタンが無効化されている場合がありますので、そういった不具合やご不明点ある場合は、シスコテクニカルサポートまでお問い合わせいただければと思います。
また今回の仕様変更に関して、弊社の方でシスコテクニカルサポートに事前にいくつか仕様確認をしておりますので、FAQとして下記に掲載させていただきます。こちらも参考にしていただければと思います。
1.Control Hub管理、Webサイト管理(Webexミーティングサイト管理)関係なく、すべてのユーザが変更対象でしょうか。
→この度の変更対象はControl Hub管理のサイトのみでございます。
2.変更の明確な日付は決まっていますでしょうか。事前に保持期間を変更する場合は、2022年12月までに対応が必要ということでしょうか?
→開発部署に確認いたしましたところ、Standardプランが2023年1月31日、Pro Packプランが2023年3月31日の変更予定となっており、リマインドメールも送信されるとのことでございます。ご認識の通り、無制限に設定いただいた場合は事前対応が必要でございます。
3.事前対応についてControl Hubから保存期間の変更ができるとの案内がありますが、どちらから操作すればいいでしょうか。
→ Control Hub>「組織設定」>「保存期間」にて設定可能でございます。
「Webex スペースの保持ポリシー」⇒メッセージング中のメッセージと共有ファイルなどのデータ
「Webex Meetings 保存ポリシー」⇒会議中の録画、議事録、ハイライトなどのデータ
4.仮に事前に100日で設定し、2023年1月を迎えた場合、強制的に360日に切り替わるのでしょうか。
→いいえ、強制的に360日に切り替わるのは無制限に設定いただいた場合のみでございます。
5.現在は会議参加者情報や議事録情報が無制限に遡って確認できますが、2023年1月を迎えた場合、2022年1月までのデータは見られなくなる(自動で削除されてしまう)認識でよろしいでしょうか?
→ご認識の通りでございます。変更後、期限になったデータは自動削除されます。
6.削除された会議情報は一度ゴミ箱に移動し、30日後にシステムから削除されるとのことですが、録画データ以外の会議情報も復元も可能ということでしょうか?
→録画データ以外の会議情報を復元する方法はございません。ゴミ箱に移動し、30日後にシステムから削除されるのは手動削除した録画データのみでございます。また、期限になったデータ(録画データも録画以外のデータも)は、そのまま自動削除されましてゴミ箱に移動することはございません。
7.メッセージングデータの保持期間は設定できないのでしょうか?
→ご質問3の回答内容をご参照ください。
8.メッセージング/ミーティング両方に保存容量があるかと思いますが、そもそもの保存容量を教えてください。また保存容量を超過した場合の動作を教えてください。
→メッセージングの場合、容量制限はございません。ミーティングの場合、容量は契約によります。
9.仮に本日(2022/12/23)、メッセージング/ミーティング両方に保存期間を、無制限から360日に変更した場合、即座に360日以前(2021/12/28以前)のデータは削除される認識でよろしいでしょうか?
→ご認識の通りでございます。
10.以前はControl Hub上、「ミーティング」>ミーティングサイト>共通設定「サイトオプション」の
ビデオとレコーディング部分「録画の自動削除」からサイト単位で保存期間等を設定できていたのですが、現状サイト単位の設定変更はできないのでしょうか?
→ご認識の通りでございます。大変ご不便おかけし申し訳ございませんが、[組織設定] > [保存期間]にて管理されるようになっておりましてサイト単位での設定は出来かねます。
11.保存期間の設定変更はテクニカルサポートの方で代行いただくことは可能でしょうか?
→申し訳ございませんが、顧客様CH上の設定に関しては弊社代行不可でございます。
12.Control Hub上で期間設定ボタンが表示されていないが、テクニカルサポートで有効化から実際に適用・表示されるまでどの程度時間がかかりますでしょうか?
→通常でございますと即時反映されるとは存じますが、設定などが反映されるまで最大48時間かかる場合もございます。大変お手数をおかけしますが、ご利用のブラウザをキャッシュクリア、もしくは他のブラウザに変えて一度お試しいただけますでしょうか。
今回は以上とさせていただきます。最後までご覧いただきありがとうございました。引き続きよろしくお願い致します。
Ciscoの記事
- Collaboration 第142回 「超便利!Cisco Webex 会議端末設計ツール Workspace Designer のご紹介」
- Security 第77回「Cisco Secure Client Cloud Managementのご紹介」
- Meraki 第150回「Cisco Secure Connectから拠点のグローバルIPアドレスを使用してみた」
- Collaboration 第141回 「Cisco AI アシスタント(生成AIによる自動要約)を使ってみた その3 ~ 議事録ダウンロードについて ~」
- Security 第76回「Cisco Secure Endpoint 端末のネットワークから隔離について」
- Collaboration 第140回 「Cisco AI アシスタント(生成AIによる自動要約)を使ってみた その2 ~ Meetingsでの使い方 ~」