自然災害の増加と停電対策
日本は、地震・台風等の自然災害が多い国です。台風や地震、雪害、落雷などの自然災害によって電柱の倒壊や電線が断線すると停電が発生します。近年でも、2019年に発生した台風15号では、広範囲で電柱の倒壊が発生し、千葉県で約64万軒が停電しました。 それに加えて、猛暑・寒波によるエアコンの多用など電気の需要が増えると、電力の供給が追いつかなくなることで、一部の地域を停電することがあります。この数年は発電所による電力供給が逼迫し、政府から電力需給ひっ迫警報が発せられるなど、停電対策は必須です。
では、次のようなサーバー、ストレージなどのIT機器を利用時に停電が発生したらどのようになるでしょうか?
サーバーやストレージ
サーバールームがある環境でも、不意の停電や電源障害が発生することがあります。また、PCでファイル操作の作業中に停電が発生したり、足を引っ掛けてコンセントが抜けてしまうといった人為的なミスで、電力供給がストップすると、重要なデータ保存ができない、ファイルが損傷するといったトラブルが発生します。オフィスによっては、OA対応でなく配線が露出しているフロアや、たくさんのタップで差し込み口を増設しているような環境では、こうしたミスは起こりがちです。
特に、サーバーやストレージを利用中に、いきなり電源が落ちると、記憶領域の損傷を受ける可能性が高くなります。
UPSと管理ソフトウェアがあれば自動で安全、安心
UPS (無停電電源装置) は、停電などが発生した際にIT機器等に電力を供給することで、サービス停止や、データ/機器の破損を防ぐことを目的とした装置です。
UPSは、停電時にバッテリー運転に切り替わることで、途切れることなく電力を供給することができます。ただし、バッテリーによる対応可能な停電時間は、数分から30分程度のものが多数ですので、この時間の間に安全にシステムを停止する必要があります。
UPSと一緒に管理ソフトウェアを利用すると、自動で監視、管理を行うことでき、手間がかからず安全に運用ができます。
具体的には、管理ソフトウェアは、主に以下のことを行います。
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電源状態の監視
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電源状況の分析(異常時など)
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停電発生時にIT機器を安全にシャットダウン
特に、IT機器が遠隔で利用されている場合、管理ソフトウェアによる遠隔操作、監視、分析ができない場合は、現地に行かなければならなくなるため、問題が発生したときの初動に遅れが生じます。
では、どのようにして、UPSと管理ソフトウェアは停電発生時にユーザーのIT機器とデータを安全に保護するのでしょうか?
停電復旧までの臨時電源供給
瞬停(ごく短時間、瞬間的に生じる停電) の場合は、一時的にUPSから電力を供給することで業務を継続できます。管理ソフトウェアは、これらの状況を把握できるため、瞬停ではなく、長時間の停電が発生する場合に、機器を安全にシャットダウンすることができます。
機器を安全にシャットダウンする時間を稼ぐ装置
停電時に、UPSから電源異常信号を受け取って、機器を安全にシャットダウンする時間を稼ぐ装置として活用できます。このとき、管理ソフトウェアは、安全な手順や時間を確保し、記憶領域の損傷を防いだり、ファイルを喪失したりすることを防ぐことができます。
管理者が現場から遠隔にいる場合
管理者が現場から遠隔の場所にいる場合、停電発生時に、状況を把握できることが重要になります。管理ソフトウェアを利用することで、管理者が現場に急行できない場合や現場の状況を素早く正確に把握することも可能です。
また、停電が発生していない場合でも、日々の運用情報を入手したり、オフィスビルの工事などで計画停電があるときは、日時を指定して、計画シャットダウンも実行することができます。
サーバーやストレージ以外にも、次のようなIT機器を利用時に停電が発生したらどのようになるでしょうか?下記ページを参照してください。
管理ソフトウェアPowerChuteの特徴
なぜ、シュナイダーエレクトリック製品が選ばれるのでしょうか?
次のような強みをご理解いただき、採用が進んでいます。
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国内、グローバルでこれまでの豊富な実績
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広い製品ラインナップでさまざまな需要に対応可能
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サービスの豊富さ
これらに加えて、業界標準になっている安全なシャットダウンを可能にする管理ソフトウェアPowerChuteの高い評価が、採用のキーポイントとなっています。
さらに、シュナイダーエレクトリックでは、産業廃棄物となる使用済みのバッテリー処分、新規にUPSをご購入いただく際に購入するUPSの容量と同じものであれば、それまで使っていたUPSをメーカー問わず引き取って処分するなどの手厚いサポートも高い評価をいただいています。
管理ソフトウェア PowerChute とは
PowerChuteは電源障害が発生した際、ハードウェア機器を正しい手順で自動シャットダウンする電源管理ソフトウェアです。PowerChuteはパラシュートの「ゆっくりと安全に落ちる」イメージから名付けられています。
サーバー関連機器には電源を入れる順序、切る順序があります。例えば、シャットダウンするときには、「サーバー→ストレージ→ネットワーク機器」の順に電源を切り、起動時には、この逆の順番で電源を入れなければシステムが正常に動作しなくなることもあります。
また、管理者への通知機能を備えているため、電源の状態やアラートなどを、電子メールなどを使って発信することができます。さらに遠隔操作することも可能なため、管理者は自席から動くことなくUPSを管理することができます。
PowerChuteでできること
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停電時、もしくは、決めた時間にシャットダウンできる
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日々の動作状況を通知できる
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離れた場所からUPSの状態を確認できる
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問題解決に必要な情報を確認できる
PowerChute ポートフォリオ
有償版 PowerChuteには、次の二つの製品があります。
【PowerChute Serial Shutdown for Business】
営業所や店舗、小規模システム向けに最適です。Windows、Linux環境をサポートします。UPS稼働状況の監視、ログ管理、障害通知、障害時あるいはスケジュール設定された時間にシステムの安全な自動シャットダウン機能を提供します。
UPSと管理するPC/サーバーへの接続はシリアルケーブルまたはUSBケーブルを利用して、1対1で接続します。別途シリアルポートの増設アクセサリ(UPS Expander Card 2[AP9624])を併用することにより、最大3台まで接続することができます。
【Power Chute Network Shutdown】
複数のサーバーを管理する場合に最適です。UPS稼働状況の監視、ログ管理、障害通知、障害時あるいはスケジュール設定された時間にシステムの安全な自動シャットダウン機能を提供します。WindowsやLinuxだけでなく仮想化環境やハイパーコンバージドインフラ(HCI)環境をサポートしており、複数OSが混在するネットワークでリモートからUPSの一元管理が可能です。最大50台まで管理できます。
PowerChuteの選定手順
PowerChuteの強み
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豊富な実績と圧倒的なシェア
シュナイダーエレクトリックがUPSからOSをシャットダウンするという概念を初めて導入しました。
UPS管理のデファクト・スタンダードであるPowerChuteは、精通した管理者が多いため、導入から運用までしっかりとした管理が可能です。 -
サーバーベンダーによる正式採用
厳しい基準を持つ国内外の大手サーバーベンダーに正式採用されているように、安心して、ご導入いただけます。
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わかりやすいインタフェース
わかりやすく直観的なインタフェースのため、管理者も素早く適切に操作可能です。
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迅速なOS対応と、仮想環境やHCIにも対応
他社よりもいち早くOSの新バージョンに対応しています。
特に、OSはセキュリティに対応するために、近年アップデートが早いサイクルになっています。新しいバージョンのOSに対しても、常にPowerChuteとの動作検証を行い、ユーザーがより安全なシステムを継続して使用できることをサポートします。
また、近年、導入が大きく進んだHCI(ハイパーコンバージドインフラ) は、システム全体の可用性向上を図っていますが、電源保護の課題は残ります。PowerChuteは最新のHCIソリューションに対しても、いち早く対応しています。 -
サポート
他社では、管理ソフトウェアが無償のものもありますが、PowerChuteは有償ソフトウェアである分、シュナイダーエレクトリックが責任を持ってサポートしています。
PowerChuteを触ってみよう
PowerChute Serial Shutdown for Business インストールとスケジュールシャットダウンの設定
PowerChute Serial Shutdown for Businessは、OS自動シャットダウン、電源状態に関するアラーム通知等を行う、UPS管理ソフトウェアです。
ここでは、Windows環境にPowerChute Serial Shutdown for Businessソフトウェアをインストールする方法を紹介します。また、停電時の自動シャットダウンと併せてよく利用されるスケジュールシャットダウンの設定のサンプルも同時に行います。
PowerChute Serial Shutdown for Businessソフトウェアのインストールをインストール手順における前提条件は、以下です。
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OS: Windows 11
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ブラウザー:Microsoft Edge
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仮想化:使用しない
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USP: APC Smart-UPS 1000 LCD 100V SMT1000J
PowerChuteシリーズの対応OSは、シュナイダーエレクトリック社サイトでご確認ください。
UPSごとの対応ソフトウェアについては シュナイダーエレクトリック社サイトの電源管理ソフトウェア対応表で確認ください。
PowerChute Serial Shutdown for Business インストール手順
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管理者権限でpcbesetup.exe をダブルクリックします。
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[セットアップの準備]ウィンドウが表示されるので、終了までしばらく待ちます。
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[セットアップ]ダイアログボックスが表示されるので、[次へ]をクリックします。
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[ライセンス契約書]ダイアログボックスで、エンドユーザー・ライセンス契約の内容に同意する場合は[同意する]をクリックします。
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インストール先を指定し、[次へ]をクリックします。
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インストールを確認するダイアログボックスが表示されるので、[次へ]をクリックします。
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UPSとの通信ポートを自動検出する場合は、[はい]を選択します。
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PowerChute Serial Shutdown for Business の管理画面にログオンするための ユーザ名とパスワードを設定します。ユーザ名とパスワードを入力して、[次へ]をクリックします。
ユーザ名は6文字以上です。
パスワードは大文字小文字をそれぞれ1文字以上、数字または記号を1文字以上、長さ8文字以上で設定してください。 -
ファイアウォール設定画面が表示された場合があります。この場合は、UPSを管理するために[はい]をクリックして、ファイアウォールの例外リストに追加します。
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インストールが完了します。[完了]をクリックします。
管理画面へのログオンとスケジュールシャットダウンの設定
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管理画面へログオンするには、スタートメニュー→PowerChute Serial Shutdown for Business→エージェントWebインターフェース をクリックします。
またはURL https://localhost:6547/logon をブラウザに入力します。 -
セキュリティに関するメッセージが表示された場合は、 [詳細設定]をクリックして、[次に進む]を選択します。
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ログオン画面が表示されます。ユーザー名とパスワードを入力し、[ログオン]をクリックします。
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「PowerChuteカスタマーエクスペリエンス向上プログラム(ユーザー設定情報のフィードバック)に参加する」を確認するページが表示されます。参加する場合は、クリックして、[適用]を選択します。
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初期セットアップ画面が表示されます。[次へ]をクリックします。
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コンセントの設定画面が表示されます。[次へ]をクリックします。
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シャットダウンの設定画面が表示されます。ページ下部に移動し、[完了]をクリックします。
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コンセントシーケンス設定画面が表示されます。ページ下部に移動し、[次へ]をクリックします。
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スケジュールされたシャットダウン設定画面が表示されます。
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年末年始にシャットダウンする設定を行います。12月カレンダーに進んで、日付をクリックすると、いつからいつまでシャットダウンを実行するかの設定画面が表示されます。ここでは、12月28日夕方から1月4日朝までシャットダウンすることにします。設定が終わったら、[OK]をクリックします。
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カレンダー画面の[完了]をクリックします。
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トップ画面が表示されます。
これで、PowerChute Serial Shutdown for Businessのインストールとスケジュールシャットダウンの設定が終わりました。
UPSと管理ソフトウェアの選び方
シュナイダーエレクトリックでは、用途や必要性に応じて、多くのUPS製品を提供します。その中でも、提案いただきたい3つのシリーズを紹介します。
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■Smart-UPS シリーズ
Smart-UPSは、主にサーバー、ストレージ、およびネットワーク用として世界中で最も普及しているUPSです。
管理が容易で信頼性も非常に高く、さまざまな負荷レベルに対して効率的に動作するため、負荷変動型のマルチコアプロセッサー搭載サーバーや仮想化サーバーに適しています。 -
■APC ES シリーズ
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■APC RS シリーズ
シュナイダーエレクトリックは、簡単なフローでUPSを選定できるツールを提供しています。
構成例
いくつか利用シーンに合わせて、おすすめの構成を紹介します。
ケース1:管理者がいない小規模オフィスIT機器の自動および定期シャットダウン
小型モデルのSmart-UPS とPowerChute Serial Shutdown for Business の組み合わせ
環境とシチュエーション例
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小規模オフィス(従業員 2名)にデスクトップ PC1台が配置されているが、IT管理者はない。
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オフィス全体を電源は冗長化されていないので、停電対応が必要。
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停電対応や長期休暇の場合は、定期的に電源を落とす操作が必要。
組み合わせで導入することによる効果
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不測の電源障害時にもシステムを安全に自動シャットダウン。
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スケジュールによる計画運用が現地に行かずに可能。
製品型番 | 製品名 | 備考 | 数量 |
SMT1000J | Smart-UPS 1000 LCD | 専用シリアルケーブル同梱 | 1 |
USBケーブル別売 | |||
SSPCSSWLJ | PowerChute Serial Shutdown for Business | 1 |
ケース2:停電時のIT機器の自動シャットダウン
ケース3:高度な仮想環境における停電対策
サポートについて
シュナイダーエレクトリック製品は、チャットまたは電話にてお問い合わせが可能です。以下より、製品種別に合わせてお問い合わせください。