Cisco 担当者コラム
Cisco・Wireless
Wireless 第43回「Catalyst9100シリーズ EWC-APのアグレッシブクライアントロードバランシング機能について」
こんにちは。TEと申します。
前回は、端末の最大接続数を手動で設定する事でAPへの負荷を軽減させることが可能なClient Limit機能についてご紹介しましたが、今回はEWC-APで自動的にAPへの負荷分散が可能な機能についてご紹介いたします。
EWC-APでは自動的にAPへの負荷を分散してくれる機能を「アグレッシブクライアントロードバランシング」と呼んでおります。こちらの機能では、コントローラ(EWC)がAP毎のクライアント接続数を見て、比較的接続数が低いAPにクライアントを接続させるように誘導する事が可能になります。
つまり、特定のAPにクライアントが集中してしまうことを自動的に回避し、無線LANのパフォーマンスを向上することができる機能になります。
では、ここからはEWC-APの実際の設定画面と併せて仕組みについても簡単に説明させて頂きます。
EWC-APのアグレッシブクライアントロードバランシング機能は、WLAN(SSID)単位で有効/無効を設定することができます。また、グローバル設定で自動的に負荷分散する際の条件を指定することができます。
まずWLAN(SSID)での有効化については、GUIの場合は設定>タグとプロファイル-WLANs>追加 or 既存のプロファイル>詳細 の順にクリックして以下の手順で設定可能です。※GUIの設定モードをエキスパートビューにしないと設定項目が表示されません。
WLANの設定で負荷分散にチェックを入れるだけなので、設定は非常に簡単です。
続いて、負荷分散の条件については、GUIの場合は設定>ワイヤレス-詳細 の順にクリックし、以下のページで設定することができます。
1.アグレッシブロードバランシングウィンドウの項目では、ラジオ毎に0から20の範囲で設定することができます。こちらは「設定した数値+負荷が最も少ないAPのクライアント数」が負荷分散の閾値となり、この閾値よりもクライアント数が多いAPは、ビジー状態を示すステータスコード17をクライアントへ通知し、接続を拒否します。
具体的には以下のようなイメージです。
例えば、接続可能な範囲にAP1とAP2が設置されている環境でアグレッシブロードバランシングを10に設定した場合、AP1のクライアント数が16台、AP2のクライアント数が5台になると負荷分散の閾値は10+5=15になります。AP1のクライアント数は16で閾値を超えているため、AP1に新規接続するクライアントを拒否し、AP2に接続するように誘導します。
2. アグレッシブクライアントロードバランシング拒否カウントでは、ラジオ毎に0から10の範囲で設定することができます。こちらで設定した回数までクライアントは同じAPに接続を拒否されますが、設定した回数を超過してさらに接続を試みた場合は、接続が許可されます。この設定により、拒否され続けてAPに接続できなくなるという事を防ぐことができます。例えば、拒否カウントを5に設定した場合は、クライアントがビジー状態の同じAPに6回接続を試みると、6回目で接続が許可されます。
設定は以上となります。前回ご紹介したClient LimitでもAPへの負荷を分散する事が可能ですが、すべてのAPのクライアントが最大接続数に達すると新規で接続できなくなるクライアントが出てきてしまうというデメリットがあります。その為、APへの負荷を分散したいという要件であれば、基本的には動的に負荷分散可能なアグレッシブクライアントロードバランシングをご利用いただくのがおすすめです。
もし、同じAPで従業員用とゲストアクセス用のWLAN(SSID)をそれぞれ出力している環境で従業員用の通信に影響がでないようにゲストクライアントの最大接続数を制限したいなどのケースでは、クライアントリミットを併用して頂くのが良いかと思います。
最後に注意点としまして、負荷が高いAPがクライアントの接続を拒否する事により、ローミング時に遅延が発生してしまう事がございます。その為、特に遅延に敏感な無線IP電話などの音声系デバイスがある場合は、アグレッシブロードバランシングは推奨されません。音声系デバイスがある場合は、アグレッシブクライアントロードバランシングを無効にしたWLAN(SSID)での利用をご検討頂ければと思います。
EWC-APのアグレッシブクライアントロードバランシング機能とClient Limitの詳細な設定手順につきましては、以下のページをご覧ください。※閲覧には韋駄天アカウントが必要になります。
CiscoCatalystシリーズEmbedded Wireless Controller onAPのアグレッシブクライアントロードバランシングの設定
CiscoCatalystシリーズEmbedded Wireless Controller onAPのクライアントリミットの設定
今回は以上となります。
引き続きよろしくお願いいたします。
<<<Cisco Wireless エンジニア情報局 前回の記事>
<Cisco Wireless エンジニア情報局 次回の記事>>>
Ciscoの記事
- Collaboration 第145回 「会議参加者リストのアイデンティティラベル機能 ~「未確認」「検証されていない」と表示される場合の対策 ~ 」
- Collaboration 第144回 「【重要】サポート終了シスコビデオデバイスに対するクラウドサービス接続について」
- Collaboration 第143回 「新製品!天井吊り外付けマイク Cisco Ceiling Microphone Proのご紹介」
- Security 第78回「Cisco Secure Endpoint ダッシュボードからのアンインストールについて」
- Meraki 第151回「Cisco Secure Connect紹介マンガのリリースについて」
- Collaboration 第142回 「超便利!Cisco Webex 会議端末設計ツール Workspace Designer のご紹介」