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Collaboration 第146回 「高品質な音声体験を実現するCisco Webex の生成AI技術 ~Webex AI Codec~」

こんにちは。ディーアイエスサービス&ソリューション株式会社の向井です。

 

2023年に開催された新製品発表イベントのWebexOneでは「Webex AI Codec」というWebexのAI技術が発表されました。最近になり「Webex AI Codec」がCiscoの会議端末やWebexアプリに実装されましたので、今回はWebex AI Codecの仕組みと特徴についてご紹介します。

 

 

■「Webex AI Codec」とは?

Webex AI Codecとは、生成AI技術を活用して音声を補完処理することで、高音質な通話を実現するAIベースの音声コーデックです。従来のコーデックを利用してネットワークが不安定な環境で会議や通話をする場合、通信が途切れてしまい相手の話し声もうまく聞き取れないことがあります。音声通信はリアルタイムでのやり取りが求められるため、ノイズやパケット損失、帯域制限などの影響を受けやすくなります。そのため、高品質な音声環境を実現するには、安定したネットワーク環境が不可欠です。Webex AI Codecを実装したCisco devicesやWebexアプリ(PC・モバイル)であれば、ネットワークが不安定な環境でも、音声の途切れを感じさせずにスムーズな音声通話が可能です。

 

 

■「Webex AI Codec」の特徴

WebexAI Codecは、生成AI技術を活用してネットワークが不安定な環境でも高品質な音声通信を実現します。

1.低ビットレートでも高品質な会議を実現

業界標準コーデック(Opus)が16kbpsで実現する音声品質をWebex AI Codecでは、1~6kbpsで同等かそれ以上の音声品質を実現することができます。これにより、少ない帯域幅で音声通信が可能となり、通信効率が向上します。

 

2.Webex AI Codecの高い耐障害性

リアルタイム性を必要とする音声通信には、不安定なネットワーク通信によるパケット損失は大きな問題です。Webex AI Codecでは、通信断が起こるような狭帯域においても音声を途切れさせないよう音声フレームを補完処理する仕組みがあります。

 

3.マルチユースケースへの適用

WebexAI Codecは、Webex MeetingsはもちろんWebex CallingやWebex Contact Centerでも活用できます。その他実装されているAI機能と組み合わさることでWebexプラットフォーム全体での活用が期待されます。

 

 

■「Webex AI Codec」の仕組み

従来の音声コーデックの場合、短いフレームで音声データを処理し、それを順にパケットとして送出しています。そのため、パケット損失が発生するとその部分の音声フレームは相手側には届かず、音声の途切れや歪みが発生します。

 

WebexAI Codecでは、1つの音声フレームを低いビットレート(6kbpsなど)で処理し、それを複製(冗長化)することで一部のパケットを損失しても別のパケットから音声フレームを復元して音声の途切れを防ぐことができます。

低いビットレートで処理した音声の品質は劣化するため、高音域が聞き分けづらくなりますが、Webex AI Codecの生成AIによって補完処理が行われるため自然な音声が維持されます。

 

 

従来の業界標準コーデックの「Opus」と「Webex AI Codec」を比較すると下図のようになります。

Opusが16kbpsのビットレートで実現する音声品質をWebex AI Codecでは、1~6kbpsのビットレートで実現可能です。Webex AI Codecは1kbpsでも高い音声品質のスコアを維持しておりますが、Opusは6kbpsになると品質が大きく低下してしまいます。

 

実際に検証してみたところ、通常時はOpusで動作していましたが、ネットワークが不安定になると自動的にWebex AICodecへ切り替わりました。Opusでは聞き取りにくかった音声も、Webex AI Codecでは多少聞き取りやすくなった部分もあるかなと感じましたが、今後さらに生成技術が発達すれば、より改善が期待できると思います。なお、Control Hubで有効化する設定は特にありませんので管理者の操作必要なく利用可能です。

 

 

いかがでしたでしょうか。Webex AI Codecは、既に実装されていますのでネットワークが不安定になった場合、自動的にWebex AI Codecに移行するようになっています。

ご注意いただきたいのが、Webex AI Codecは、ミーティングプラットフォーム移行後のバージョン44.8以降のファームウェアで利用可能ですので、現在のファームウェアをご確認いただき、アップデート可能であれば実行いただければと思います。

 

 

WebexAI Codecを使った実際の音声映像やホワイトペーパーも公開されておりますので下記も合わせてご確認いただければと思います。

・Webex AI Codecデモ映像(Youtube)

https://www.youtube.com/watch?v=TvlbNEJUMc8&t=41s


・Webex AI Codec ホワイトペーパー(英語)

https://www.webex.com/content/dam/www/us/en/whitepaper/ai-codec-whitepaper-cm-6165.pdf

 

・Webex アプリ Webex Suite ミーティング プラットフォームについて(ヘルプ記事)

https://help.webex.com/ja-jp/article/m61d8eb/Webex-%E3%82%A2%E3%83%97%E3%83%AA-Webex-Suite-%E3%83%9F%E3%83%BC%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%B3%E3%82%B0-%E3%83%97%E3%83%A9%E3%83%83%E3%83%88%E3%83%95%E3%82%A9%E3%83%BC%E3%83%A0%7C-%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6#reference-template_93fe2917-fd64-4a9f-95ca-505e6b6603c3

 

 

最後までご覧いただきありがとうございました。今後ともよろしくお願い致します。

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