VMware vSANのご紹介

抑えておきたいvSANの概要について

みなさんこんにちは、VMware担当の及川です。

今回はvSANの概要について説明いたします。
vSANはVMwareが提供するストレージ仮想化製品になります。

vSANの説明に入る前に、Hyper Converged Infrastructure(以下、HCI)とは?
ということで、HCIについて簡単にまとめました。
従来の仮想化基盤は、ネットワーク機器、物理サーバ、ストレージを組み合わせて提供しています。
役割が分かれていることで、拡張性や障害切り分けがしやすくなっており、FlexPodなどのConverged Infrastructureであれば、
事前検証についても不要のため、仮想化基盤の導入までの時間も短縮することができます。

一方で、高度なシステムになりますと、バックアップやストレージの専門スキルを有する必要があり、導入できるエンジニアが限られるという課題もあります。
お客様の要件に対して、きめ細やかに対応できるのはストレージ専用機のメリットでもありますが、要件が少なく、高度な機能が不要なシステムには、
若干敷居が高いと感じられることもあるかもしれません。

それに対して、HCIはサーバとネットワーク機器を使って仮想化基盤を提供するため、ストレージの専門スキルがなくても構築が可能です。
また、サーバを増設することで、簡単に拡張が可能です。
特に、HCIはサーバのハードウェア構成が決められているモデルが多く、DELL EMC社のVxRailのような購入してすぐに使える状態であれば、簡単に拡張できます。
VxRailは購入してすぐに仮想化基盤が構築できるようESXiがプリインストールされていますので、従来のインフラの導入時間と比較すると迅速に導入ができます。

物理サーバの内蔵ディスクを活用し、共有ストレージ(vSANデータストア)を提供します。
ESXiのカーネルの中にSANは含まれており、ESXiをインストールし、ライセンスを適用するだけで使用可能です。
vSANの設定に関してはすべてvCenter Serverから行います。
今までvSphereを使っていた方からすると非常に馴染みやすくなっております。

では、vSphere上仮想マシン(以下、VM)の保存先であるデータストアについて、
従来のストレージとvSANで提供されるvSAN データストアを比較してご説明します。
従来のストレージでは、ディスクをRAIDグループ化してから、LUNを切り出してvSphereのデータストアとして利用していました。
一方で、vSANはサーバの内蔵フラッシュをキャッシュ領域に、HDDをキャパシティ領域として組み合わせることで、
vSAN データストアを提供します。このvSAN データストア上にVMを保存します。
キャッシュ領域については、必ずフラッシュデバイスを選択する必要があります。
キャパシティ領域については、HDDもしくはフラッシュを選択することが可能です。
パフォーマンスが求められる仮想化基盤については、キャパシティ領域にフラッシュを選択することでALL Flash構成を提供することができます。

次に、vSANで特に心配されることが多いHDD障害時のVMのデータ保護についてご説明します。
従来のストレージでは、HDD障害に対してはハードウェアRAIDでVMのデータを保護していました。
しかし、vSANはHDD障害に対してはハードウェアRAIDは使用しません。
実は、vSANはJBODを使ってデータストアを提供しますので、RAIDによるHDDのデータ保護がされません。
この点が、物理ストレージと大きな違いになります。

では、どのようにデータを保護するかと言いますと、vSphereの「ストレージポリシー」を使います。
ストレージポリシーですが、vCenter Server上で作成し、定義できるルールは、冗長性、IOPSの制限、ストライプ数など様々用意されています。
デフォルトで用意されているvSAN用のストレージポリシーでは、VMのデータは2重(ミラーリング)で書き込まれるよう定義されています。
この場合、VMのデータはストレージポリシーを元に異なるホスト上のHDDにデータを書き込みます。
そのため、HDDが故障した場合もデータが失われることはありません。
3重化のストレージポリシーを利用すればVMのデータを3重化することも可能です。

vSANを活用するとそれぞれのVMに異なるSLAを定義することができます。
以下の図のようにVMサービスクラスに基づいてストレージポリシーを作成します。
信頼性を高めたい仮想マシンは4重化して、その必要がない仮想マシンは多重化しない、といった仮想マシン単位での保護レベルが設定可能です。
このように重要度に応じてVMの保護レベルを指定できるのもvSANがもたらすメリットの一つになります。

次に、vSANのハードウェア構成についてご説明します。
vSANを利用する場合は、ESXiがサポートされている物理サーバを選定することはもちろんですが、
vSAN認定されているIOコントローラ、キャッシュ用フラッシュデバイス、キャパシティ用のデバイスの3つがサポートされている必要があります。

VMwareのHardware Compatibility Guideにて、各個別パーツを選定することもできますが、非常に構成確認に時間がかかります。

サイジングや見積もり時間を短縮するため、vSAN Ready Nodeと呼ばれる既にサポートされている構成のリストが提供されています。
以前コラムの方でご紹介させて頂きましたので、合わせて参照頂ければ幸いです。

vSANはESXiのカーネルの中に組み込まれておりますので、利用したいvSANのバージョンが含まれたvSphere (ESXi)のバージョンを選ぶ必要があります。
vSAN 6.6を利用する場合は、ESXi 6.5dにUpgradeする必要がありますので、ご注意ください。

  • vSAN 6.2  :ESXi 6.0 U2 or U3
  • vSAN 6.5  :ESXi 6.5
  • vSAN 6.6  :ESXi 6.5d
  • vSAN 6.6.1:ESXi 6.5 U1

※2017年10月1日現在

最新の情報については以下の相互運用性マトリックスを参照ください。

いかがでしたでしょうか?
vSANの情報について少しでも皆様のお役に立てれば幸いです。

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