CSP 担当者コラム
CSP
新しい Teams アプリを活用しよう
Teams アプリが新しくなりました。Microsoft 365 Business および Teams Essentials ライセンスのユーザーでは 2023年10月から、Microsoft 365 E3/E5 ライセンスのユーザーも 2023年10月下旬から2024年1月にかけて新しい Teams アプリへの更新が展開されます。
新しい Teams アプリへの更新では、Teams アプリを起動する際、新しい Teams に 1 度切り替わります。その後、ユーザーは必要に応じて従来の Teams に戻すこともでき、2024年3月31日まで従来の Teams を引き続き利用できます。この場合、2024年3月31日以降新しい Teams に更新されます。
新しい Teams アプリへの更新に伴い、従来の Teams アプリの名称が「Microsoft Teams Classic」に変更されています。
新しい Teams アプリから従来の Teams アプリ(Teams Classic)に戻すには、新しい Teams アプリで画面右上の […](設定など)をクリックし、表示される [新しい Teams] のスイッチをオフにします。
今回は新しい Teams アプリは今までの Teams アプリからどこが変わったのか、新しい機能をどのように活用するのかを解説します。
新しい Teams アプリの概要
新しい Teams アプリはパフォーマンスを重視して再設計されており、より高速でシンプルかつ柔軟なユーザーエクスペリエンスを実現しています。
再設計されたといっても全体的な画面レイアウトは従来の Teams と大きな変更はなく、使い方に戸惑う部分はあまりないでしょう。
新しい Teams 画面
従来の Teams 画面
新しい Teams のアーキテクチャ
新しい Teams で刷新されたのは見た目や使い方ではなく、アプリのアーキテクチャ(内部構造)です。
従来の Teams は Electron 上にカスタム HTML/CSS コードでユーザーインターフェースを実装した AngularJS アプリとして構築されていました。新しい Teams アプリは WebView2(Microsoft Edge と同じ機能)の上に Fluent UI でユーザーインターフェースを実装した React アプリとして構築されています。また新しい Teams アプリではデーター処理をワーカースレッドに分離しています。
Teams Web アプリ
Teams にはブラウザーからも Web アプリとして利用できますが、Web アプリ版にも新しい Teams が提供開始されています。ブラウザーで Teams にアクセスすると、画面左上に [新しい Teams を試す] が表示されます。
このスイッチをオンにすると、Web でも新しい Teams の機能が利用できます。
新しい Teams アプリのメリット
アーキテクチャの刷新により、新しい Teams アプリは従来のアプリに比べて以下のようなメリットがあります。
高速な動作
従来の Teams アプリに比べて以下のように高速化されています。
・アプリの起動:2倍
・会議への参加:2倍
・チャットとチャネルの切り替え:1.7倍
・アプリのインストール/更新:3倍
より少ないリソース
従来の Teams アプリに比べて、必要なリソースが少なくなっています。
・メモリ:50%
・ディスク容量:70%
スムーズなビデオ処理
ビデオ会議の際のビデオ(映像)の処理を見直し、より複雑な処理をより効率的に行えるようになりました。その結果、動的ビューや49人同時表示などの高度な画像処理の際の消費電力は以前に比べて 50% 削減されています。
マルチアカウント/マルチテナント
Teams アプリに複数のアカウントでサインインし、アカウントを切り替えて利用できるようになりました。従来はモバイル用の Teams アプリでのみサポートされていた機能ですが、デスクトップ向けの Teams アプリでも利用できるようになりました。
アカウントを追加するには、アプリ画面右上のアカウント マネージャー(赤丸部分)をクリックし、[別のアカウントを追加] を選択します。
追加したいアカウントにサインインすると、以下のようにサインインしたアカウントに切り替わりますが、元のアカウントにも簡単に切り替えできます。
また別テナントのアカウントだけでなく、同じテナント内の別のアカウントを追加することもできます。
現在利用しているアカウント以外のアカウントでのアクティビティは画面上部の [他のアカウントと組織でのアクティビティ] アイコンに通知されます。
アイコンをクリックすると、アクティビティの通知を確認でき、通知をクリックするとアカウントが切り替わってアクティビティが表示されます。
ギグワークやマルチジョブなどで複数の組織に所属している場合でもこの機能を使い、サインアウトすることなくアカウントを切り替えて Teams を利用できます。
セキュリティの強化
より厳格なコンテンツセキュリティポリシーを実装することを通じて、クロスサイトスクリプティング(XSS)攻撃に対する保護が強化されました。またアプリのインストール方法を変更して、従来のユーザープロファイルフォルダーではなくユーザーが書き込みできない WindowsApps フォルダーにアプリをインストールするため、マルウェアなどによるアプリの改竄を防止しています。
アクセシビリティの強化
新しい Teams では、アクティビティやチャット、チームでのより効率的なキーボード操作、状況に応じたキーボードショートカットのヘルプ、Windows 11のハイコントラストモードのサポート、スクリーンリーダーを利用するユーザー向けのパフォーマンスの向上が行われています。また通知ではオペレーティングシステムのトースト通知を利用し、応答不可や通知センター設定などの Windows 11 でのユーザーの設定を尊重します。
大規模会議のパフォーマンス向上
ビデオとチャットを多用する同時出席者が数千人以上の大規模な会議での、パフォーマンスとスケールが改善されています。これにより、会議の規模に関係なくスムーズな会議参加とアプリケーションの応答性が実現されています。
新しい Teams アプリへの移行を管理する
新しい Teams アプリへの移行は自動的に行われますが、テナントの管理者はポリシーを利用して移行を管理することができます。
Azure Virtual Desktop や Windows 365 を含む VDI 環境では、まだ新しい Teams アプリを使用できません。VDI 環境での新しい Teams アプリはパブリックプレビューの段階です。(2023 年 12 月時点)
参考:
また新しい Teams アプリに更新して利用するには、いくつかの前提条件があります。テナントの管理者は前提条件が満たされているか確認が必要です。
Teams 更新ポリシー
Teams 管理センターで Teams 更新ポリシーを構成して、新しい Teams への移行を管理できます。
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テナント管理者アカウントで Teams 管理センター
下記ににサインインします。 -
左側のナビゲーションで [チーム] を展開し、[Teams 更新ポリシー] を選択します。
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[追加] をクリックして新しいポリシーを追加します。
(既存のポリシーを選択して編集することもできます。)
画面幅によっては [追加] が見えない場合がありますので、その場合はメニュー右側の [・・・] をクリックしてください。 -
更新ポリシーを構成します。
ポリシー設定の詳細については下記を参照してください。 -
[適用] をクリックして新しいポリシーを作成します。
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[グループポリシーの割り当て] をクリックして、ポリシーの割り当て画面に切り替えます。
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[追加] をクリックして新しい割り当てを追加します。
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ポリシーを割り当てるグループ(Microsoft 365 グループ = Teams のチーム)を指定し、[ポリシーの選択] では上で作成した新しいポリシーを選択します。
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[適用] をクリックすると以下の確認画面が表示されますので、[確認] をクリックします。
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新しいポリシーが指定したグループに割り当てられます。
上の確認画面に書かれているように、ポリシーがグループ内の各メンバーに反映されるまである程度の時間がかかります。
更新の前提条件
新しい Teams アプリに更新するためにはいくつかの前提条件があります。それらを以下に示します。
・オペレーティングシステム
Windows 10 バージョン 10.0.19041 以降、または macOS 12(Monterey)以降
・Webview2
Windows の場合、システムの WebView2 を最新版に更新します。
WebView2 は既定では自動更新されていますが、グループポリシーや WSUS で更新管理している場合は WebView2 が最新に更新されるようになっているか確認してください。
参考情報:
・配信の最適化
Windows の場合、配信の最適化(DO)を有効にします。バイパスモード(モード100、BITS の利用)はサポートされていません。
参考情報:
Teams の新しい機能
新しい Teams アプリの提供に併せて、Teams では新しい機能が数多く展開されています。
ここではその中からいくつか便利な機能を紹介します。
投稿の表示順
Teams ではチャネルの投稿は古いスレッドが上から順に表示され、最新の投稿があるスレッドが一番下に表示されます。最近の更新でこの順番を入れ替え、最新の投稿があるスレッドが一番上に表示され、更新が新しい順に上から表示できるようになりました。
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表示順の変更を行うには、チャネルの画面上部右側の [・・・] をクリックします。
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以下のようなメニューが表示されますので、[新しい投稿を最上部に表示] を選択します。
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新しい順に上から表示されている場合は同様の手順で、[新しい投稿を最下部に表示] を選択すると、最新の投稿があるスレッドが一番下に表示されるようになります。
複数チャネルへの投稿
複数のチームに関連するお知らせや情報提供、呼びかけなどを、一度にチームが異なる複数のチャネルに投稿できるようになりました。
複数のチャネルに同時に投稿できるのは、チャネルメッセージの最初の投稿だけです。投稿への返信は、返信したチャネルにのみ表示されます。
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投稿するいずれかのチャネルで [新しいページを開始する] の [投稿] をクリックします。
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投稿画面の [設定]( )をクリックします。
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[投稿先] で [複数のチャネル] を選択します。
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件名入力欄の上に投稿先を指定する欄が表示されます。[+] をクリックします。
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追加で投稿するチャネルを選択して、[更新] をクリックします。
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投稿先チャネルが追加されます。
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メッセージを投稿すると、指定したすべてのチャネルに表示されます。
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をポイントすると、メッセージが同時投稿されているチャネルを確認できます。
新しいファイル添付の画面
投稿にファイルを添付する際の画面が新しくなっています。添付するファイルが保存されている場所を指定して、ファイル選択画面が表示できるようになりました。
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投稿画面で をクリックします。
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[クラウドファイルの添付]・[チームとチャネルを参照]・[このデバイスからアップロード] の3つの選択肢が表示されます。
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[クラウドファイルの添付] を選択すると、自分の OneDrive for Business からファイルを選択する画面が開きます。
※[クイックアクセス] や [その他の場所] からチャネルの「ファイル」(SharePoint ライブラリ)に移動できます。 -
[チームとチャネルを参照] をクリックすると、投稿しているチャネルの「ファイル」(SharePoint ライブラリ)からファイルを選択する画面が開きます。
※[自分のファイル] から自分の OneDrive for Business に移動できます。 -
[このデバイスからアップロード] を選択すると、PC 内のファイルを選択する画面が開きます。
添付したいファイルの保存場所が分かっている場合は、このように場所に応じて選択することで、すばやくファイルを見つけて添付することができます。
まとめ
2024年3月31日以降、従来の Teams アプリはすべて新しい Teams アプリに更新されます(VDI 環境を除く)。新しい Teams アプリはパフォーマンスや使用リソース量、セキュリティ、マルチアカウントの利用などで、従来のアプリに比べて大きなメリットがあります。
従来の Teams アプリを使われている場合は、新しい Teams アプリに切り替えることを検討してください。グループポリシーや WSUS で更新を管理している組織の管理者の方は Teams の更新の展開時期を検討して、早めに展開を進めてください。
これから Teams を導入される場合は始めから新しい Teams アプリを利用することをお勧めします。
Teams を含む Microsoft 365 のライセンスや導入・展開につきましては、当社担当営業までお気軽にご相談ください。