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Collaboration 第149回 「Webex Calling のご紹介 その3~ 電話回線について(CCP回線)~」
こんにちは。ディーアイエスサービス&ソリューション株式会社でシスココラボレーション製品の担当エンジニアをしております斎藤です。
今回はWebex Calling に必要な電話回線契約(CCP回線)についてご紹介したいと思います。Webex Calling ではクラウド上で電話回線の接続が可能です。こちらを実現するための契約が何になるのか具体的にご紹介していきます。
■Webex Calling に必要なクラウド電話回線:CCP回線
WebexCalling では、電話回線をクラウド上で仮想的に収容し、オフィスでの電話線引き込みや工事無しにオフィスの電話番号をクラウドで利用することができます。他社PBXでよく見かけるゲートウェイを設置するパターンとは異なり、宅内に特に専用機器の設置が不要となるため、本当の意味でフルクラウド環境を実現することができます。Webex Calling において、このクラウド側で仮想的に電話回線を引き込む回線のことを、Cloud Connected for PSTN 回線を略して「CCP回線」と呼んでいます。

物理回線ではなく、CCP回線を採用いただくことでいくつかメリットがございます。
まず回線契約に関する工事が不要という点があります。基本的に回線契約に伴う作業は、キャリアの基地局の方で行われるものになりますので、物理的な工事に依存せずに電話回線の引き込み(クラウド収容)を行うことができます。(一部契約方式では工事が発生する場合もございます)
また物理的な回線と違ってオフィス内にゲートウェイ等の専用機器設置が不要です。他社クラウドPBXでは、電話回線の収容にゲートウェイ設置が必要になるケースがございますが、その場合、オフィスが停電したり、ネットワーク障害が発生したりすると、外線発着信ができなくなってしまいます。一方で、CCP回線であれば、オフィスが停電やネットワーク障害が発生しても、他ネットワークの電話機やスマホ5G/LTE回線を使って、問題なく外線発着信することができます。
さらに、CCP回線では基本的に契約上の同時通話数制限(チャネル数)の概念がなく、1ユーザー(1ライセンス)につき1チャネルの同時通話が担保されています。従来の電話契約では、1回線2チャネル(最大同時2通話)や1回線23チャネル(最大同時23通話)といった制限があり、ユーザー規模や用途に応じて回線数や契約種別を慎重に検討する必要がありました。しかし、CCP回線では1回線でもライセンス数に応じたチャネルが提供されるため、実質的に同時通話数の制限を気にする必要がありません。例えば、10ライセンス契約していれば同時に10通話、100ライセンス契約していれば同時に100通話が可能です。これにより、従来のように煩雑な回線数や契約種別を考慮する必要がなくなり、必要な電話番号数に応じたシンプルな契約が可能になります。
■CCP回線の手配方法
まずご注意いただきたい点として、CCP回線は弊社もしくはメーカーから提供される回線ではなく、通常の電話契約同様、あくまで電話回線キャリアから提供される回線であることです。従いまして、販売店パートナー様におかれましては、CCP回線の手配が基本的に、「ユーザー様に手配を依頼・案内いただく」、もしくは「回線キャリアに取次いただく」といった手続きとなります。
そのうえで、現在Webex Calling用のCCP回線の提供しているキャリアは、以下の3キャリアとなっております。
・KDDI「Webex Calling KDDI(Cloud Connected for PSTN )」
・NTT東日本「ひかりクラウド電話 for Webex Calling」
・NTT西日本「ひかりクラウド電話 for Webex Calling」
提供される回線の性質はどのキャリア回線も変わりはありませんが、金額(プラン)や手続きが各キャリアにより異なります。また提供はキャリアからお客様直となりますので、詳細な価格や申込手続きの詳細については各キャリアにお問い合わせいただければと思います。基本的に上記回線キャリアで契約されていれば、契約変更にて物理回線からCCP回線への切り替え・移管が可能です。
では、既存の電話回線を上記以外のキャリアで契約している場合、CCP回線の契約はできないのでしょうか?

結論からいうと、契約変更と番号ポータビリティ(移管)を利用することで、既存の電話番号をそのままCCP回線で利用できます。この番号ポータビリティ(移管)に関して、2025年1月に電話業界の取り決めに大きなアップデートがありました。従来は、
・番号ポータビリティはNTTから他キャリアへの片方向のみ可能
・ひかり電話の番号はポータビリティできない
といった制限(いわゆる「片方向ポータビリティ」)がありました。しかし、この取り決めが変更され、どのキャリア間でも0ABJ番号(市外局番付きの一般的な電話番号)のポータビリティが可能になりました。この変更により、現在の回線キャリアに関係なく、CCP回線を契約できるようになります。
■CCP回線の注意点
まず、上記3キャリア以外を契約中で、CCP回線に契約変更をされる場合、当然ながらプランが変わりますので請求金額が多少変わることになります。また、番号ポータビリティ(移管)をする場合、あくまでポータビリティできるのは0ABJ番号であることも注意が必要です。既存で050番号や0120番号などをお使いの場合は、確実に電話番号が変わりますのでご注意いただければと思います。
また既存の物理電話回線をCCP回線に変更する際、オフィス内でのケーブル差し替えではなく、基地局側での切り替えが行われるため、基本的に即座の切り戻しはできません。そのため、リスクヘッジの観点から、事前にバックアップ用や検証用として新規のCCP回線を引き、動作確認を実施した上で切り替えを進めることもご検討いただければと思います。
最後に、納期に関してですが、繁忙期などにより多少の増減はありますが、約1ヶ月程度が目安となります。特に番号ポータビリティに関しては、1ヶ月半から2ヶ月程度かかる場合がありますので、余裕を持ったスケジュールでご提案いただくよう調整いただければと思います。
以上がCCP回線の概要となります。パートナー様におかれましては、お客様へのCCP回線のご案内が必要になる場面もあるかと思います。案件がございましたら、まずは各社の公式HPから直接回線キャリアへお問い合わせいただくことを推奨いたします。また、お客様によっては、すでに回線キャリアの担当者がついている場合もございます。その場合、お客様側での手配が可能であることをご案内するのも一つの方法かと思います。お客様の体制に応じて、最適な提案内容をご検討いただければ幸いです。
最後に、双方向の番号ポータビリティが可能になったのは2025年1月からであり、これにより回線の切り替えが容易になりました。これは、Webex Calling の提案・導入がしやすくなる大きなアップデートポイントとなります。ぜひ、回線の柔軟性もWebex Calling のメリットとして捉えていただき、Webex Calling のご提案・ご拡販にお役立ていただければ幸いです。
今回は以上となります。最後までご覧いただきありがとうございました。今後ともよろしくお願い致します。
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