VMware 担当者コラム
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vSANのハードウェア選定方法「vSAN Ready Node」
皆さま、こんにちは。
VMware担当の田畑です。
今回もまたVMware vSANについてコラムを書かせていただきます。
今回はvSANのハードウェア選定を行う際のポイントになる「vSAN Ready Node」についてご説明したいと思います…が、
その前にそもそもvSANにはどのようなハードウェア提供形態があるのかを紹介していきます。
vSANを構成する際のハードウェア選定には、大きく分けて3つの方法があります。
1.HCIアプライアンス
VMware vSANを活用したアプライアンス製品となっており、各ベンダー独自の専用ツールの提供により、運用・管理を簡素化したものになります。さらに保守もハードウェアとソフトウェア一括で受けることができるのがメリットになります。
【vSANを利用したHCIアプライアンス製品】
DELL EMC 『VxRail』 富士通『PRIMEFLEX for VMware vSAN』
NEC『Hyper Converged System for VMware vSAN』 Lenovo 『ThinkAgile VX』など
2.DIY (Build Your Own)
言葉の通り「自分自身で」構成を作成する方法です。
ベンダーによって動作検証されたパーツを選択していくことによってハードウェア選定していきます。
3.vSAN Ready Node
ハードウェアベンダーごとに、vSANの動作がサポートされたハードウェア一式を提供しているものになります。
DIYと比べ、ハードウェア一式で動作、パフォーマンスの検証がされているため、性能劣化などが起こりづらいものになっています。
【vSAN Ready Nodeを提供しているハードウェアベンダー一覧】
次からは「vSAN Ready Node」を使用する際のポイントをご説明していきたいと思います!
vSAN Ready Nodeの選定方法
vSAN Ready Nodeのハードウェア選定は非常に簡単です。
-
→VMware製品すべての互換性を確認できるサイトです。
-
→直感的にvSAN Ready Nodeのモデルを選択することができます。
-
→Workloadの入力等、モデル選定する上でかなりコツが必要になります。
上記の様に選定方法にはいくつか種類がございますが、
今回は1.VMware Compatibility Guideを用いた選定方法をご紹介します。
それでは早速、vSAN Ready Nodeのモデルを選定するために、
VMware Compatibility Guideにアクセスし、検索カテゴリで「vSAN」を選択します。
「バージョン」や「ベンダー」はすぐに選択することができますが、「vSAN Ready Nodeのプロファイル」の部分で見慣れない選択肢が出てきます。
プロファイルの項目では、AFシリーズもしくはHYシリーズを選択することで、要件を満たすおおよその構成を絞り込むことができます。
各プロファイルの概要は下記一覧表もしくは、vSAN Hardware Quick Reference Guideをご確認ください!
All Flashシリーズ
vSAN Ready Node Profiles |
|||
|
AF-8シリーズ |
AF-6シリーズ |
AF-4シリーズ |
Rawストレージ |
12TB |
8TB |
4TB |
CPU |
24コア |
24コア |
20コア |
メモリ |
384GB |
256GB |
128GB |
キャパシティ用 |
・12TB SSD |
・8TB SSD |
・4TB SSD |
キャッシュ用ディスク |
400GB × 2本 SSD |
200GB × 2本 SSD |
200GB × 1本 SSD |
IOコントローラ |
Queue Depth ≧ 512 |
Queue Depth ≧ 512 |
Queue Depth ≧ 256 |
NIC |
10 GbE |
10 GbE |
10 GbE |
Hybridシリーズ
vSAN Ready Node Profiles |
||
|
HY-8シリーズ |
HY-6シリーズ |
Rawストレージ容量 |
12TB |
8TB |
CPU |
24コア |
20コア |
メモリ |
384GB |
256GB |
キャパシティ用ディスク |
・12TB HDD |
・8TB HDD |
キャッシュ用ディスク |
400GB × 2本 SSD |
200GB × 2本 SSD |
IOコントローラ |
Queue Depth ≧ 512 |
Queue Depth ≧ 256 |
NIC |
10 GbE |
10 GbE |
vSAN Ready Node Profiles |
||
|
HY-4シリーズ |
HY-2シリーズ |
Rawストレージ容量 |
4TB |
2TB |
CPU |
16コア |
6コア |
メモリ |
128GB |
32GB |
キャパシティ用ディスク |
・4TB HDD |
・2TB HDD |
キャッシュ用ディスク |
200GB × 1本 SSD |
200GB × 1本 SSD |
IOコントローラ |
Queue Depth ≧ 256 |
Queue Depth ≧ 256 |
NIC |
10 GbE |
10 GbE |
vSAN Edge
vSAN Ready Node Profiles |
||
|
SF-AFシリーズ |
SF-HYシリーズ |
Rawストレージ容量 |
0.6TB |
06TB |
CPU |
6コア |
6コア |
メモリ |
32GB |
32GB |
キャパシティ用ディスク |
・600GB SSD |
・600GB HDD |
キャッシュ用ディスク |
350GB × 1本 SSD |
350GB × 1本 SSD |
IOコントローラ |
Queue Depth ≧ 256 |
Queue Depth ≧ 256 |
NIC |
10 GbE |
10 GbE |
このプロファイル一覧を参考にご所望のハードウェア要件に近いシリーズを選択していただくと、vSAN Ready Nodeモデルがより探しやすくなります。
最後に検索結果の中からより要件に近いモデルを選択するのみで(下図例)、
vSAN Ready Nodeのハードウェア選定手順は終了です!
しかし、選定したvSAN Ready Nodeモデルだと「メモリ容量が少ない」「ストレージ容量が合わない」「パーツの在庫切れがあって組めない」等の要件を満たしていない場合もあるかと思われます…
でもそんな時はvSAN Ready Nodeをカスタムして要件を満たす構成を作成することができます!
vSAN Ready Nodeのカスタムについて
vSAN Ready Nodeはあくまでハードウェア一式で動作検証とパフォーマンス検証されているだけで、そのモデルがアプライアンス製品として販売されているわけではありません。
ですので、vSAN Ready NodeモデルからCPUの変更やメモリの増設、ストレージ容量の増減、在庫切れパーツの変更等が可能です。
ただし、vSAN Ready Nodeをカスタムする場合は下記注意点に気を付けなければなりません。
コンポーネント |
カスタマイズ可否 |
指針 |
CPU |
CPUのクロック速度が同等もしくはそれ以上のコア数がサポートされます。 |
|
メモリ |
vSAN Ready Nodeモデルより多くのメモリ追加はサポートされます。 |
|
キャッシュ用ディスク |
キャッシュ用ディスクは、耐久性とパフォーマンスが同等以上である必要があります。 |
|
キャパシティ用ディスク |
キャパシティ用ディスク(SSDの場合)は、耐久性とパフォーマンスが同等以上である必要があります。 |
|
IOコントローラ |
vSAN Ready Node向けにテスト、認定され、モデルにリストされているコントローラのみがサポートされます。 |
|
NIC |
サーバーに空きスロットがある場合、NICを追加できます。 |
|
ブートデバイス |
ブートデバイスの変更は可能です。 |
|
ディスクグループ |
vSAN Ready Nodeは、特定の数のディスクグループでテストされ、認定されています。任意の数のディスクグループを最大5つ(ノードごとの最大数)まで選択できます。 |
|
ディスクグループの設定 |
ディスクグループの構成の変更は可能です。例えば、3.2TBの場合、 |
|
SAS エキスパンダ |
ノードにディスクを追加するにはSASエキスパンダが必要になる場合があります。これは認定されたSASエキスパンダのみ許可されます。 |
|
認定IOコントローラの追加 |
各ノードに認定コントローラを追加し、コントローラの背後にディスクグループを構成してパフォーマンスを向上させることができます。 |
|
ストレージデバイス |
vSAN Ready Node内のプロトコルの変更は非サポートです。 |
|
ブートデバイスの |
ブートデバイスとvSANデータストアは個別のコントローラの背後に配置する必要があります。 |
※USB/SDから起動する場合は、別途syslog領域を準備する必要があります。
※vSAN Ready Nodeのカスタムポリシーは下記KBにも記載がございますのでご確認ください。
https://kb.vmware.com/s/article/52084?lang=ja&queryTerm=52084
この様にIOコントローラ、SASエキスパンダ、ストレージデバイスプロトコルはvSAN Ready Nodeモデルから変更することはできません。
さらにキャッシュ用もしくはキャパシティ用のSSDを変更する場合は、SSDの耐久性クラス(Endurance Class)、パフォーマンスクラス(Performance Class)がvSAN Ready Nodeモデルと同等以上のものを選ばなければなりません。
耐久性、パフォーマンスのクラス・値については下記をご覧ください。
SSDの耐久性クラス |
||
クラス |
SSD層 |
5年間の書き込み(TB単位) |
A |
vSAN All Flash - Capacity |
365 |
B |
vSAN Hybrid - Caching |
1825 |
C |
VSAN All Flash - Caching for Medium workloads |
3650 |
D |
VSAN All Flash - Caching for High workloads |
7300 |
(クラス:A < B < C < D)
SSDのパフォーマンスクラス |
|
クラス |
1秒当たりの書き込み数 |
B |
5000 - 10000 |
C |
10000 - 20000 |
D |
20000 - 30000 |
E |
30000 - 100000 |
F |
100000+ |
(クラス:B < C < D < E < F)
今回の内容は以上となりますがvSAN Ready Nodeについての理解は深まりましたでしょうか?
コツをつかむととても簡単にvSANのハードウェア選定ができるようになりますので是非お試しください!
本コラムが皆さまのお役に立てると幸いです。
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