Horizon8 インスタントクローンの概要

皆さま、こんにちは。
VMware担当の田畑です。

今回はインスタントクローンの概要についてご説明いたします。
2020年8月リリースのHorizon8 2006から、全てのエディションでインスタントクローンが利用できるようになりました。
また、リンククローンはHorizon8 2006が最終リリースとなり、2021年1月リリースの2012からは廃止されています。
Horizon7からの変更点については下記参照ください。

※Horizon 7からの大きな変更点

Horizon 7まで Horizon 8以降
リンククローン インスタントクローン
Persistent Disks Dynamic Environment Manager、App Volumes またはFSLogixの機能に置き換えられます。
Persona Management
Windows 7 , 8、Windows Server 2008 のサポート Windows 10、Windows Server 2016,2019 等
Flex 管理コンソール Horizon コンソール(HTML5)

VDI環境を展開する際、今まではフルクローンもしくはリンククローンが主流でしたが、今後Horizonを利用する場合は、「フルクローン」もしくは「インスタントクローン」にて展開する必要があります。

インスタントクローンについて

インスタントクローンはマスターVMのスナップショットからテンプレートVMを作成し、それをクローンしたレプリカVMからペアレントVMを作成します。
ユーザーに提供されるVDIはペアレントVMのディスク及びメモリを共有します。これにより、ストレージ容量の削減及び、高速なVDIの展開が可能になります。
また、管理者はマスターVMに対してアプリケーションのインストールやパッチを適用することで、全てのVDIに反映させることができるため、メンテナンスが容易になります。

リンククローンとインスタントクローンの違いについて

今まで主流であったリンククローンとの比較を行いつつ、インスタントクローンについてご説明いたします。
リンククローンはマスターVMのスナップショットからレプリカVMを作成し、レプリカVMのディスクのみを共有します。また、各ユーザーが個別で行った変更や個人の設定は、差分ディスクとして各VDIに紐づきます。
インスタントクローンの展開方式は先ほど記載した通り、ペアレントVMのディスクとメモリを共有します。ユーザーの個人設定などのプロファイル管理は、Dynamic Environment Manager(DEM)やFSLogixを利用します。

他には下記のような違いがございます。

リンククローン

  • 再構成 (Recompose)、更新 (Refresh)、再分散(Rebalance)
  • クローンレベル CBRC
  • Composer サービス が必要
  • Composer 用のデータベースが必要
  • 大量のデスクトップ展開に時間がかかる
  • デスクトップ展開時に IO 負荷が発生
  • VMware vCenter® への頻繁なコール処理 -クローン、複数の電源操作、再構成

インスタントクローン

  • クローンの 削除と生成
  • レプリカ専用の CBRC
  • 固有のサービスは不要
  • 固有のデータベースは不要
  • 展開開始後 新しいデスクトップを数秒でプロビジョニング
  • プロビジョニング操作時、より低いディスク IO 負荷
  • vCenter コールの減少

この中からいくつかピックアップしご説明いたします。

  • マスターVMの更新

    例えば、展開しているVDIにアプリケーションのインストールまたはパッチの適用を行いたい場合、
    リンククローンではマスターVMに変更を加えたのちに、パワーオフしスナップショットを取得します。その後View Composerにて再構成します。
    一方インスタントクローンでは、マスターVMをパワーオンのままスナップショットを取得することも可能です。また、デスクトッププールから直接更新後のスナップショットを適用することができます。

  • View Composerの必要有無

    リンククローンを利用する際にはView Composer及びView Composer用のデータベースが必須でしたが、インスタントクローンでは不要になります。これにより管理コンポーネントを削減でき、よりシンプルな運用ができます。

Horizon8からの機能拡張

Horizon8からInstant Clone Smart Provisioningと呼ばれる機能が実装されました。
Horizon7までのインスタントクローンでは、VDIを展開するESXiホストごとにペアレントVMが1台ずつ構成されていましたが、Smart Provisioningでは、ESXiホスト1台に対し12VM未満のVDIを展開する場合に、ペアレントVMなしでレプリカVMから直接VDIが展開されます。
ESXiホスト1台に対して12VM以上のVDIを展開する場合は、今までと同じくペアレントVMが構成されます。
Smart Provisioning機能によって、小規模な環境でのインスタントクローン展開時に、より少ないリソースでVDIを利用できるようになります。

今回のコラムはここまでになります。
次回はインスタントクローンのユースケースや考慮が必要なポイントについてご紹介いたします。

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