バッファローが法人向けサプライ製品戦略を大転換

「お客さまと販売パートナーの声を商品化していきます!」

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効率優先のサプライ製品開発で法人の顧客ニーズから距離ができつつあった。その事実に気付いたバッファローは、効率第一の方針から脱却し、小さな顧客ニーズもくみ取る顧客第一の開発へと大きくかじを切った。その成果としての法人向け新ラインアップ第1弾の市場投入がすでに始まっている。

失った信頼を原点回帰で取り戻す

「サプライ製品のラインアップの縮小で、法人のお客さま、そして販売パートナーの皆さまの信頼を失ってしまいました」----。現在、バッファローのサプライ事業部長を務める西脇孝志氏は、従来までのサプライ製品戦略の結果を苦く振り返る。

 周辺機器の総合メーカーであるバッファローの主力製品は、無線LAN (Wi-Fi)やNAS製品と、マウスやキーボード、各種ケーブル類などのサプライ製品に分かれる。その中でサプライ製品については、コクヨとバッファローのサプライ部門を統合したバッファローコクヨサプライ(2007年から2012年)での提供を経て、2012年4月、改めてバッファローが事業を引き受けた。その際に、効率を優先した開発体制へと移行した経緯がある。

「効率第一で開発を進めた結果、売れるモデルだけに注力するようになり、需要が少ない製品の提供はやめていきました。バッファローコクヨサプライ時代に3,000アイテムを擁したラインアップは1,500アイテムにまで減少したのです。例えば、数十型番のラインアップを用意していたテンキーは、十数型番まで減少してしまっていました」(西脇氏)

 効率優先の市場戦略の代償は大きかった。「法人のお客さまの需要に応えられなくなり、売り上げが低下したのです。それだけでなく、提案できる製品の数が減ったということで販売パートナーの皆さまからの信頼も失ってしまいました」(西脇氏)

 過去を猛省したバッファローは、原点に立ち返り、顧客と販売パートナーの声に最大限に耳を傾けた戦略へと転換することを決めた。今年の5月、そのリーダーとして任命されたのが西脇氏だった。それまで20年以上にわたって同社の生産工場を担当してきた西脇氏は、製品の製造過程でさまざまな業者と細かい部材のやり取りをしてきた。製品に対する要望を抱く利用者とそれに応える業者という関係において、製品を利用する側としての豊富な経験があったのだ。そのため、顧客の気持ちに寄り添った製品開発が主導できるとして抜てきされた。

「お客さま、そして販売パートナーの皆さまの声をくみ取った原点回帰の取り組みで、改めて、当社のサプライ製品を選んでいただけるように努力していきます」(西脇氏)

バッファロー
サプライ事業部長
西脇孝志 氏

「時間はかかるでしょうが、販売パートナーの皆さまからの信頼を再び得るために地道に取り組みます」

水で洗えるキーボードなど250アイテムを追加

 サプライ製品開発の戦略転換を図ったバッファローが最初に着手したのは、法人向け製品のラインアップ強化だった。バッファロー サプライ事業部 商品課長の植村雄介氏は、「サプライ製品の法人市場は確実に成長しています。2020年のWindows 7 EOSのタイミングを前に、PCとのセット提案のチャンスも増えるでしょう」と分析する。そこで、顧客や販売パートナーの信頼回復と、新たなビジネスチャンス獲得に向けて、製品ラインアップの拡充にとりかかったのだ。その第1弾はすでに今年の8月から提供されており、実際には250アイテムを新たに追加した。

 例えば、従来まで法人向けには1色しか用意されていなかったLANケーブルのカラーバリエーションを8色にまで拡大させた。「お客さまへのヒアリングによって、接続先ごとにLANケーブルの色を分けたいというニーズが多いことを知りました。そこで、法人向けのLANケーブルのカラーバリエーションを8色に拡大し、お客さまのニーズに応えられるようにしたのです」(植村氏)

LANケーブルは8色を用意。用途やフロアごとの使い分けが可能だ。

水でジャバジャバ洗えるキーボードをラインアップ。 カラーはホワイトも用意。

水でジャバジャバ洗えるキーボードをラインアップ。
カラーはホワイトも用意。

 水で丸洗いするという大胆な着想のもとに開発されたキーボードも法人専用製品を用意している。「デスクでの作業の最中に食事をされるケースは少なくありません。その際にキーボードに溜まってしまった食べかすなどを、水で手軽に洗い流せるのです。一般企業のオフィスだけでなく、清潔感が求められる医療機関などにもお薦めですね。カラーバリエーションには、ブラックだけでなくホワイトもラインアップしています。汚れに気付きやすく、清潔感を保つためには最適です」(植村氏)

左右対称のマウスは、利用者を選ばないため、 大量導入案件にも提案しやすい。

左右対称のマウスは、利用者を選ばないため、
大量導入案件にも提案しやすい。

 ホワイトのカラーバリエーションは、マウスにも用意されている。マウスは左右対称のシンプルな形状の製品をラインアップしていて、オフィスや学校に対する大量導入の提案が行いやすい。また、キーボードやマウスには、旧規格であるPS/2接続に対応したモデルもある。「従来から利用している機器を長く使いたいというお客さまの声に応えるためにラインアップしています」(植村氏)

バッファロー
サプライ事業部 商品課長
植村雄介 氏

「お客さま、そして販売パートナーの皆さまから 選んでいただくためにラインアップを強化しました」

 このほかにもテンキー、USBハブ、ヘッドセット/ヘッドホン延長コード、各種ケーブル類、電源タップ、PC用フィルター、そしてセキュリティグッズなどが法人向けサプライ製品として用意されている。「当社のサプライ製品には、当社周辺機器製品と同水準の品質管理体制を整えています。お客さまに安心して利用していただけるように、中国の生産拠点に品質管理センターを設置して、徹底した品質管理を行っている点が大きな強みなのです。販売パートナーの皆さまにとっても安心して提案できる要素となるでしょう」(西脇氏)

 ラインアップ強化の第1弾製品は、過剰な包装を廃した簡易パッケージが採用されており、無駄なゴミが出にくくなっているのも特長だ。

ラインアップが拡充された法人向けサプライ製品の一部。簡易パッケージが採用されている。

クレームも聞かせて欲しい

ラインアップの強化を果たしたサプライ製品の戦略について、バッファローはこれからどのような展望を持っているのだろうか。西脇氏は次のような胸中を明かす。

「まずはお客さま、そして販売パートナーの皆さまに、バッファローのサプライ製品が変わったことを知っていただかなければなりません。そのためにも、お客さま、販売パートナーの皆さまのもとに地道に足を運ばせていただきます。その際、皆さまには当社のサプライ製品へのご要望を、クレームも含めて聞かせていただきたいですね。皆さまの声が、製品開発を成長させる原動力になるからです」

 植村氏も続ける。「ラインアップを整理する前の時点と比較して、製品の販売数を来期までに5倍に増加させるのが目標です。市場シェアから判断すると十分に射程圏内です。実現させるための足がかりとして、ラインアップ強化の第1弾が提供できたことに、大きな手応えを感じています。また、現在、当社の無線LANやNAS製品の販売が好調です。それらの製品提案時にあわせてサプライ製品を提案するという活用が、今回のラインアップ強化で生み出せるようになったと確信しています。販売パートナーの皆さまには、ぜひ、当社のサプライ製品の提案によって売り上げの拡大を実現していただきたいですね」

 バッファローでは、製品ラインアップ強化の第2弾の提供に向けて、すでに走り始めているという。

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